HRTech

HR関連のStartupに詳しくなりたいと思って勉強中です。

500 Startups Demo DayでのHR系スタートアップまとめ

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現地時間の5月12日に500 StartupsのDemo Dayが開催されました。

そのDemo Dayで披露されたスタートアップの中からHR系のサービスをざっくりまとめました。ちなみに今回出てきたスタートアップ33社のうちHR系のサービスは6個でした。(筆者調べ)

 

①Avanoo(http://www.avanoo.com/

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従業員の教育を目的とした動画サービスです。Avanooは毎日会社に向けて3分のビデオレッスンを提供します。従業員はそのビデオを朝の全体ミーティング時などにサクッと観ることもできます。ビデオレッスンの内容は企業のCEOやコンサルのプロなどその道に精通した人が自分自身の体験談を話したり講義してくれたりするものだそうです。更にデータを取りながらその会社に一番必要な動画を提供してくれるのだとか。

 

②Qimple(https://www.qimple.com/

 

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様々な求人サービスなどの情報を集約して求人が行えるサービスです。現時点でLinkedIn、Indeed、MONSTERなど有名処は対応しているようです。利用者には今まで使ってきた求人サービスやSNSでの情報をまとめてプロフィールを作成してくれます。これによって別々で使うより正確な職歴や、応募履歴を可視化することができます。企業にとっても一つにまとまっているプロフィールを閲覧することができるので比較しやすくなります。更には求人をつくる際に企業の求める人材をある程度フィルタリングして提案もしてくれます。

 

③Blueboard(https://www.blueboard.co/

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従業員にギフトが贈れる福利厚生サービスです。ただ贈れるギフトがモノではなく”体験や経験”にフォーカスしているというところが一味違ってます。例をあげると「スカイダイビングに行く」、「無人島探検」、「楽器を持ってライブに出る」などです。サービス自体はシンプルで、会社がギフトを贈りたい社員を選択すると複数のギフトが贈られその中から社員はやりたいことを一つ選ぶというものになっています。

 

④Gogohire(https://gogohire.com/

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収入の高いエリート向け転職求人サービスです。テック系企業に勤める年収$80k〜$350Kの高給な人をメインターゲットにしているようです。特にこれといった特徴は見つけられなかったんですが、高給な人を紹介してその人が90日以内に登録し、Gogohire経由で雇用されれば、紹介者と雇用者二人とも現金$500かApple Watchがもらえるそうです。

 

⑤Speedlancer.com(http://speedlancer.com/

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スピードを売りにしているクラウドソーシングサービスです。オンラインで出来る仕事を納品は4時間、発注にいたっては30秒(入札・面接なし)で出来るそうです。料金もデザイン$29〜、ライティング$39〜、データ入力$29〜と値段もお手頃になっています。

 

⑥CareerDean(https://www.careerdean.com/

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仕事に関するQ&Aサービスです。現在はエンジニアをターゲットにしていて開発に関するQ&Aのみ行っています。自分以外のエンジニアに教えてもらうことや、バグの修正などが無料で聞けるとのことです。回答者にはRuby on RailsのクリエイターでBasecampのCTOデイビット・ハンソンやGoogle Docsのクリエイターなどプロフェッショナルも抱えているのでそういった人たちが質問に答えるということもあるそうです。

 

◯まとめ

はじめて500のまとめをしたので、この6件というのが多いのか少ないのかは分かりませんが、個人的には意外に多いなって思いました。(もっと少ないと思ってました。)HR分野でいきなり真新しいものを期待するのは難しいですが、これからどう発展して伸びていくのか楽しみです。この中からすごい会社が出てくることに期待します(´∀`∩)

勝手に注目HRTech ー ①Pomello

ご無沙汰しておりました。約1ヶ月ぶりの更新ですね。
書くネタに困っていたので、今回から表題にあるように「勝手に注目HRTech」というコーナーを作ってみました。

このコーナーは、”まだ世間での注目度は高くないけれど、これから伸びそう!”と筆者が勝手に選んだHRTech分野のスタートアップを不定期でピックアップするという少しマニアックなコーナーになっております。

今回はその記念すべき初回ということで、”Pomello”というサービスをピックアップしたいと思います!

 

◯Pomelloとは?https://www.pomello.com/

PomelloはYC出身のHRスタートアップです。(初回なのでまだ入りやすいYC出身にしました。)2014年1月にカルフォルニアを拠点に設立されたスタートアップで、YCの2015 Winter Demo Dayで初めて世間にお披露目されたまだまだ新しいサービスです。資金調達はYCからシードで$120K、その他非公開ですがエンジェルなどから調達しています。

◯創業経緯

Pomelloは元々スタンフォードのビシネススクールで知り合った、Catherine SpenceとOliver Staehelinの二人でスタートしました。お互いが求人募集に関して、もっと異なった視点から出来るのではないかと話したことがきっかけだそうです。その後二人は週末にミーティングをするようになり、2013年12月にはMVPが出来上がるより前にプライベートバンキング事業を行うFirst Republic Bankを顧客として獲得しました。その後Googleマイクロソフトで働いた経験をもつXian Keがジョインし、フィードバックをもらいながら2014年9月にサービスをローンチしました。ちなみに共同創業者のCatherine Spenceは現在33歳です。

 

◯サービスに関して

Pomelloを一言で表すと、”採用の出会い系サービス”です。

これだけだと変に勘違いされるかもしれませんが、Pomelloは従来の採用マッチングサービスとは少し違い、”企業文化”に着目し、更にその文化にフィットする人材を見つけてマッチングさせるサービスです。今までの採用マッチングサービスは、企業が求めるスキルと求職者が持っているスキルや給与といったところでマッチングさせるものがほとんどだったので、一味違うアプローチ方法ということになります。

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具体的に何をしてくれるかというと、まずは彼らが作成した独自のフレームワークに沿って記入することで企業文化を計測・分析してくれます。(フレームワークはクリエイティブなことに対する自由度、福利厚生といった会社の公共サービスなど様々なチェック項目から作成されています。)更にはそのプロファイルされた企業文化に合う求職者を見つけて提案してくれます。企業文化というのは、長年その会社に染み付いたものであったりするので可視化できていない会社がほとんどだと思います。Pomelloのすごい所は今まで可視化することが難しかった組織におけるカルチャーを可視化し、さらには分析までしたことです。

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2015年1月時点で、2000以上の個別の調査から70以上の企業文化をプロファイルし、クライアントも20社程ですが抱えているそうです。

 

マネタイズに関しても既存の採用マッチングサービスとは異なるやり方を取っています。Pomelloは小さな会社をターゲットにして、会社で毎月1つのプロファイル作成とそれを用いた求人紹介2人までを無料で提供し、それ以上の回数を有料で提供するモデルを取っています。成果報酬型が一般的になっている採用マッチングサービスとは違ったアプローチに挑戦しようとしているのが伺えます。

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(企業にはこういった感じで求人紹介が届くそう。)

◯まとめ

今までの採用とは少し変えて、企業文化に着目してるところと、それを可視化することができている所が面白いなと思って今回Pomelloを取り上げました。まだまだ可視化するには精度が足りてないところもあるかとは思いますが、これからより精度が増していくとただの採用マッチングツールではなく様々な展開が出来そうな気がします。

採用ツールとして見るのではなく、もっと大きな可能性を秘めたプロダクトとしてこれからも見守っていきたいと思います.....。期待!!!

<参考記事>

YC-Backed Pomello Helps Teams Determine Whether Job Applicants Will Fit In | TechCrunch

リクルートのHR Tech Fundが気になる

言わずと知れたリクルートが、今年1月に海外のHRTech分野への投資に特化した合同会社HR Tech Fund」をつくっていたんだけどこれが気になって仕方がない。。。
さっそく3月には投資を実行するなど、放っては置けない感じなので自分への勉強の意味をこめて色々まとめておこうと思います。
 
リクルートの新会社「HR Tech Fund」
リクルートは2015年1月27日に海外のHRTech分野への投資に特化したHR Tech Fundの設立を発表しました。投資総額は23.6億円で、設立の狙いについてリクルートは下記のようにコメントしています。
 
人材ビジネス領域は、世界的に見ても他の領域と比べて新しいテクノロジーの活用が十分に進んでいない領域であると言えます。しかし今後は、積極的なテクノロジーの取り込みが、人材ビジネス業界全体の活性化や、採用におけるマッチング精度の向上等によるユーザー・クライアントの皆様の生産性向上に寄与するものであると考えています。
 

今後は、世界中の革新的なテクノロジーを持つ人材サービス企業に対して、当社グループが創業から50年以上の期間で培ってきた人材ビジネス領域におけるアセットやナレッジの提供等のサポートも視野に入れながら、投資先企業の成長を支援して参ります。

 

リクルートのHRTech分野でいうと2009年に推定総額600〜800億円で買収した、求人の検索エンジン「Indeed」のニュースが有名ですが、今回のファンドはそのIndeed買収においての中心人物で、弱冠36歳でリクルート執行役員になった出木場さんが代表をつとめているみたいです。運用金額的にみてシード・アーリーでの投資が中心になるとは思うのですが、これからどこに投資するのか非常に楽しみですね☆・:゚*オォヾ(o´∀`o)ノォオ*゚:・☆

 

◯最初の案件は「All4Staff」(https://all4staff.com/

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ってなことを思っていたら早速3月頭に投資の発表をしたので驚きましたʕº̫͡ºʔ

記念すべき投資案件第1号となったのは、アメリカフロリダ州に拠点を置く「All4Staff」です。

 

・All4Staffって?

All4Staffは簡単に言うと内定をもらってから、実際に働くまでの手続きをスマートにしようとするサービスです。転職などで新しい会社に入る場合は、書類の提出が避けて通れません。そのような事務手続きを簡単にすることで転職をスムーズに行えるようにしようというのがこのサービスの狙いです。

 

具体的にはスマホを使って、免許証の写真を送付したり、サインすることで手続きが簡単に出来ます。さらには基礎情報など重複して記載が必要だった項目が自動入力される機能もついてるようです。管理者側も書類提出が完了していない人なんかを簡単に管理できるようで沢山採用する会社にとってはありがたいサービスです。

 

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(免許証を撮影して送付、サインもスマホで完結できるようになっています。)

 

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(企業側の管理画面)

 

アメリカのこの分野にはもともとSilkRoad(http://www.silkroad.com/)という大手が存在していますが、このAll4Staffはスマホを使って更にシンプルに入社までの手続きを完結できるようにしているのが印象的です。

 

会社自体は昨年設立され、従業員も10人以下とまだまだ小さい会社ですが昨年10月にシードで$1.5Mを調達しています。見る限りプロダクトもすごく良いなーと。今回の件でリクルートは、これからかなりタフな投資をしていくんだなということが感じられたので次もどこに投資をするのか目が離せません( ・д・)/

 

[参照]

リクルート、海外の人材サービス企業を対象としたコーポレートベンチャーキャピタル「合同会社HR Tech Fund」を設立 | リクルートホールディングス - Recruit Holdings

 ・リクルート、クラウドを活用した入社手続き書類の電子化サービスを提供する All4Staff, Inc.への出資を実施 | リクルートホールディングス - Recruit Holdings

 

大物起業家たちがこぞって出資するZenPayrollって?

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 投資家と起業家を繋ぐプラットフォームとしてスタートアップ界隈では有名なAngelList、そのAngelListのHR部門https://angel.co/human-resources

に掲載されているスタートアップ870社(2015/03/08時点)においてダントツで多くのフォロワー数を集めているのが今回紹介するZenPayrollです。

 

 

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  画像を見てもらったら分かるようにフォロワー数は1799、2位に800以上の差をつけてダントツの1位になっています。それに少し調べてみると、このサービスに投資している人たちが超有名人だらけだったということが発覚したので今回はこのZenPayrollとは何なのか、どんな人が投資しているのかを紹介していきます。

 

そもそもZenPayrollって?

 このサービスは簡単に言うと、働くに時あったら便利な機能がいーっぱい詰まったクラウドサービスです。会社の人事と従業員お互いにあったら便利な機能がこのサービスには集約されています。しかも値段も毎月基本料金$25 + 1人につき$4なので法人向けのサービスにしてはかなりお手頃です。

 

便利な機能

 ZenPayrollには沢山便利な機能が付いているのでここではその機能を簡単に紹介していきます。

 

①Automatic New Hire Reporting

 新規の採用があった時自動的に組織の上層部へ報告するための機能です。これによりどんな人が採用されたかすぐに把握できると共に、大量の書類を減らすことが出来ます。

 

②Employee self – Onboarding

 従業員自ら入力して個人情報を登録・管理しておく機能です。256bitのSSLでセキュリティ管理をしているためセキュリティ面もしっかりしているのだとか。

 

③E-mail Paystubs with Explanations

 詳しい給与明細をメールにて送信できる機能です。給料の詳細が分かることによって自分たちの仕事に関しての理解も深めること出来ます。従業員は24時間365日、スマートフォンタブレットから給与明細を確認することが出来ます。

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(これだけだと分かりづらいですが、UIも良いとの評判です。)

 

④Easy Charitable Donations

 スマートフォンを使って給料から簡単に寄付ができる機能です。会社に寄付文化を根付かせることができます。

 

⑤Tax Calculation & Payments

 自動的に従業員がいる州などに異なる税金を自動で計算してくれて、政府に支払ってくれます。また源泉徴収などの年末に必要になる書類も自動で計算した上で提出してくれます。日本の確定申告のようなものにあたる1099フォームも自動で作成し、請負業者に送信してくれます。

 

⑥Payroll – perfectly tailored

 企業はいつでも給料を払えるように設定できます。従業員によっては毎週・半月・毎月毎などの給料日も選択することが出来ます。たとえ間違えてしまってもすぐにキャンセルすることができるので心配いりません。また税金の計算を心配することなくボーナスをいつでも支払うことも出来ます。

 

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(こんな感じでボーナスが入るのもなんかいいですね。)

⑦Software Integration

 ZenPayrollは様々な他社のソフトウェアと組み合わせることができます。会計ソフトのFreshbooksや労働時間管理のTsheets、給与計算のZenefitsなど数多くの製品と組み合わせて使うことが可能です。

 

会社概要やその他補足

 ZenPayrollは2011年創業のY Combinator出身スタートアップです。2012年にシードで$6.1Mを調達した後、2014年にはKPCBなどからシリーズAで総額$20Mを調達しました。この時のValuationは$100M以上と言われています。AngelListによると主なクライアントは3万以上の学校に採用されているオンライン学習サービスCleverやY Combinatorなど大手8社、その他多くのクライアントがこのサービスを使っています。

  

 そしてこのサービスが最も注目されている理由の1つとしては、有名起業家達がこぞって投資しているという点です。このシード投資ではFounder Club(http://techcrunch.com/2012/10/19/fundersclub-seed-round/)と呼ばれる成功を収めた起業家たちや有名VCなど合計8社17人から投資を受けています。以下はなかでも特に著名な人やVCをピックアップしたものになります。なかなか恐ろしいメンツが揃っていますね...

  • Aaron Levie,(CEO and Co-Founder at Box)
  • David Sacks(CEO and Co-Founder, Yammer)
  • Drew Houston(CEO and Co-Founder, Dropbox
  • Jawed Karim(Co-Founder, YouTube
  • Jeremy Stoppelman(CEO and co-founder, Yelp)
  • Google Ventures
  • Y Combinator

まとめ

 いくらYC出身とはいえこんなにシードから大物起業家が投資しているのはすごいです。でもこれだけの機能がついたプロダクトが作れているので投資したくなるのもわかる気がしますね。2012年にシードを入れて次のシリーズAまで1年半程なかなかメディアには出てない時があって、この間プロダクトに集中していたようです。

 AngelListに掲載されているHRスタートアップの平均バリュエーションは$4.2Mなので$100M超えのこのサービスはダントツで凄いってことになります。日本でもこういうサービスが出てきてほしいものですね+(0゚・∀・) + ワクテカ +

2015年5つのITトレンドと関連するHRスタートアップ(後半)

 前回2つ目までを紹介できたので今回は引き続き残りの3つのトレンドと注目のHRスタートアップを紹介していきたいと思います。

 

その3:「Platform Revolution and Evolution

 これまでも様々なプラットフォームをベースとしたエコシステムが新たな市場を作り出して富を生んできました。特にITにおいてはクラウドやモバイルといったプラットフォームの急速な発展がここ最近では大きな影響を与えています。そしてアクセンチュア自身まだまだプラットフォームベースのサービスは伸びると予想して今年のトレンドとしています。

 調査によると74%の企業がビジネスパートナーとデータを共有するためにプラットフォームを使用するか、現在使用しようと試みているそうです。

 

この領域での注目HRスタートアップ

 

Elance-oDeskhttps://www.elance-odesk.com/

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 このサービスはシリコンバレーにあるフリーランサーと企業をマッチングさせるプラットフォームで世界的に見ても大きなものとなっています。これまでにこのサービスを通じて200万件以上の仕事と800万人以上のフリーランサー、2013年だけで$750Mの富を生んでいると発表しています。クライアントも有名企業だらけでマイクロソフト、ディズニー、Pinterestなどがこのサービスを利用しています。

 

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 元々は1998年に設立され、KPCBなどから総額$94.8Mを調達したElanceという老舗ベンチャーと2005年に設立され、SV Angelなどから総額$44Mを調達したoDeckという別々の会社でした。しかしこの2社が昨年の2014年1月に合併、それによって世界的に巨大なプラットフォームになりました。現在のCEOはElanceのCEOを務めていたFabio Rosatiが継続してなっています。会社は合併しましたがサービス自体は統合することなく別々に運営されています。

 

Freelancerhttp://www.freelancer.com/

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 このサービスはその名の通りフリーランサーを探せるプラットフォームです。しかし先程のサービスと違って案件が町のレストランのWebサイト作りなど比較的小さなものが中心となっています。仕組みとしてはユーザーがフリーランサーに頼みたい仕事を投稿してそれを見たフリーランサーが値段など条件を提示、複数の条件の中からユーザーは一番納得するフリーランサーにお願いするというものになっています。サービス自体も日本語に対応しているみたいですね。

 会社はオーストラリアのシドニーを拠点としていて2009年に設立されました。VCからの資金調達情報はありませんが設立から2012年にかけて7社を買収、2013年11月にIPOをしたのち更に昨年2社の買収を行っています。

 

その4:「Intelligent Enterprise

 ソフトウェアは進化し続け、人工知能といった学習・適応するものも出るまでに発展しました。そして今日こういった人工知能ビッグデータの流入などが人間の選択において非常に手助けとなり活躍しています。日本でも先日メタップスが43億円の大型資金調達を行うなど人工知能分野に注目が集まっていることから今年のトレンドに入っていてもおかしくないですね。これからのアプリケーションやツールの80%はより人間に近いものになってくるとアクセンチュアは言っています。

 

この領域での注目HRスタートアップ

 

Equifaxhttp://www.equifax.com/home/en_us

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 この会社はビッグデータを使って様々なクライアントに対しての意思決定をサポートしています。その中でもHR領域として行っているサービスが雇用者の所得における意思決定をサポートするサービスです。全国4300以上におよぶ採用担当者からの雇用と所得のデータベースを用いて、更には賞与・残業なども考慮した上で所得の計算を行ってくれるようです。

 調べてみるとスタートアップとかいいながら1987年にIPOをしている老舗企業でしたが2006年になってから積極的にM&Aをしており現在までに9社M&Aしています。VCからの資金調達情報はなく、本社はアメリカのアトランタにあります。

 

Visierhttp://www.visier.com/

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 このサービスはいつ・どこに・どのくらいの従業員を分配すればいいかなど労働力におけるプランニングを提供してくれるサービスです。これにより無駄のない効率的な労働分配ができるようになります。この企業の強みとしては前回1つ目のトレンドにもあったパーソナライズも組み合わせている点です。会社全体や部門ごとの成績といったマクロ的な視点だけではなく、従業員ひとりひとりの能力等のデータもしっかり取りミクロ的な視点も踏まえて分配してくれます。しかもシフトに変更があった場合でも自動的に修正してくれるようになっているから驚きです。米Yahooや日産などがこのサービスを利用しているようです。

 会社はカナダのバンクーバーを拠点にしていて2010年に設立。2014年10月$25.5MのシリーズCでの調達を含む総額$46.5Mをこれまでに調達しています。CEOのJohn SchwarzはIBMの出身でSAPのCEO経験もある超強者です。

 

その5:「Workforce Reimagined

 アクセンチュアが今年のITトレンドとして最後にあげたのは、この直訳すると「労働力の再考」という言葉でした。どういうことが言いたいかというと人間とテクノロジーの付き合い方をもう一度よく考えろということだそうです。両者が助けあいながらうまく付き合いビジネスを展開するような企業が今年は伸びて、そういった人間とテクノロジーの超融合みたいなサービスが沢山出てくるってことが言いたいんだと思います。

 

この領域での注目HRスタートアップ

Wearable Intelligencehttp://wearableintelligence.com/

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 このサービスは現場の第一線で活躍する人たちに向けたアプリで、Google Glassと組み合わせて使うそうです。Google Glassによる労働パフォーマンスの向上と、それを支える自社で開発したアプリによって安全性や伝達などがサポートされます。元々は石油・ガス業界で働く人向けに作られましたが、最近では医者などヘルスケア領域で働く人向けのアプリも開発されたようです。

 なかなか文章では伝えづらいですが、動画をみてもらうとよく分かると思います。情報が迅速に伝達され処置やその後の経過管理がとてもスムーズです。本当にインターネットが社会に役立っているんだなと実感できますね。

 会社は2013年設立でシリコンバレーを拠点としています。KPCBなどから2014年8月に$7.9Mの資金調達も行っています。PresidentのRyan Juneeは元YouTubeのプロダクトマネージャーだそうです。


Wearable Intelligence in Healthcare - YouTube

 

まとめ

 ここまで様々な分野のHRスタートアップをみてきましたが、やっぱり「あー、言われてみればこれもHRの領域に入るのかー。」というものが多かったですね。なかなかHR領域も奥が深いなと感じると同時にテクノロジーやインターネットの力でもっともっと良くなるし、良くしていってほしいと思いました。

2015年5つのITトレンドと関連するHRスタートアップ(前半)

 先日コンサルティングファームAccentureアクセンチュア)が「IT Trends 2015 – Accenture Technology Vision」という2015年のITトレンドを5つ発表していました。

 

 なんとなく見ていると、その5つトレンドに沿った注目のHRスタートアップを世界最大級のHRTechカンファレンスである「HR Technology Conference & Expo」のCo-Chairman、Steve Boeseがピックアップしていた記事を発見しました。今回はその記事に企業情報などの補足を付け加えたものになります。元記事が読みたい方はこちらから→(http://www.hreonline.com/HRE/view/story.jhtml?id=534358323&

 

◯2015年のITトレンド

 

その1:「The Internet of Me

 まず1つ目のトレンドとして世界は今よりもっとパーソナライズされていくとアクセンチュアは言っています。Amazonのレコンメンド機能など個々に合わせた機能というのは今では一般的になっています。そしてそれがどんどんと精密になり、健康管理などミクロな差まで見極めたサービスというのが今年は特に進んでいき沢山生まれるそうです。

 アクセンチュアによるとパーソナライズされた顧客体験という項目がサービスの優先事項としてトップ3に入るとした企業は全体の81%、一番の優先事項だとした企業は38%になるようです。

 

この領域での注目HRスタートアップ

Brand Amperhttp://brandamper.com/

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 このサービスは採用における雇用者の趣味趣向や経歴など詳細な情報を掲載するLinkedInのようなソーシャルプラットホームで、企業はここから自社に最も合致する人材を採用することが出来ます。このサービスの強みとしては独自のストーリーテリングツールを駆使して、利用者のブランディングを高めることが出来るという点です。分かりやすくいうと、このサービスに登録する際の質問に答えることで自分の強みをみつけてくれてと自己分析もしてくれるという感じです。

 会社は2014年設立のシカゴを拠点とするスタートアップで、設立初年で「HR Technology Conference and Exposition」において入賞しました。

 

その2:「The Outcome economy

 2つ目のトレンドとしてあげているのはエンタープライズの世界とリアルな世界が繋がるアウトカムエコノミーです。これはここ数年トレンドになっているInternet of Thingsがより進んで、モノだけではなく生活圏全体がインターネットによってスマートになっている状態だとイメージすると分かりやすいかもしれません。この状態では単にモノやサービスを売っているのではなく、もっとなにか大きな産物を売っていると言えます。アクセンチュアによると87%の企業が素晴らしいハードウェアによってそのような状態に移行されると見ているようです。

 

この領域での注目HRスタートアップ

ShapeUphttp://www.shapeup.com/

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 このサービスは従業員たちが運動することをサポートする社内使用のクローズドSNSです。現在までにHPなどが導入しています。従業員はここに登録して運動のスケジュール管理や社内で一緒に運動してくれる仲間をつのる事ができます。更には100以上のヘルスケアのデバイスやアプリからデータを持ってきて一括して健康管理を行うことが出来ます。

 会社はアメリカのプロビデンスにあり2006年に設立されています。資金調達はExcel Venture Managementなどから2010年にシリーズA、2013年にはシリーズBで合計$10M行っており、同じ2013年には$2.5Mの借り入れもしています。ファウンダーでCEOのRajiv Kumarは大学卒業後このShapeUpを立ちあげました。

 

Virgin Pulsehttp://www.virginpulse.com/

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 このサービスはShapeUp同様、従業員の運動をサポートするサービスです。ネットで自分の日々の運動を確認しながら会社の仲間たちとより良い関係が作れるようなものになっています。しかしこの企業が他社と違うのは自社でハードウェアを作っているところです。Maxという自社のサービスにすぐに直結する万歩計のようなデバイスになっています。歩数やカロリーが手間なくデータがとれるようになっています。またゲーム感覚で運動を続けてもらえるようにポイントが貯まる仕組みもできています。

 会社情報はほとんどありませんでしたがCEOのShawn Lavanaは先程紹介したShapeUp出身で2010〜2013年にかけて在籍していたそうです。

f:id:vc-now:20150303135511j:plain(オリジナルデバイスのMax)

 

Limeade  (http://www.limeade.com/

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 このサービスは従業員がダイエットや禁煙など運動だけでなく健康管理全般に関する目標を管理することができるアプリです。日々の記録管理はもちろんのこと目標を達成するとポイントが貯まる機能もついていて会社内で何かしらの報酬を設けることもできます。

 会社はワシントンにあり2006年設立。昨年までにTVC CapitalなどからシリーズCまで総額$25Mを調達しています。

 

 これら3つに共通することは新しい技術で従業員の雇用とウェルネス(運動を適宜日常生活に取り入れながら、健康的に日々の暮らしを送ろうという意味)に対してアプローチするサービスという点です。モチベーションの専門知識、それから競争とチームビルディングを組み合わせた技術によってこれらのサービスによって企業は生産性や利益同様、従業員の健康面も良い方向に持って行くことができます。実際このサービスによって従業員の欠席率が下がり、会社にプラスの影響が出ているという報告がされているようです。

 

まとめ

 HR周りのスタートアップを調べていてどこで区切るかにもなりますが、HRというのは単に会社における採用などのツールとしてだけではなく、健康管理などライフスタイルに関わるもの全てHRTechの領域範囲内ということになることが分かりました。可能性はまだまだあるのでのでこれから成長しそうな分野ですね。

 後半もよろしくお願いします。