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サービス開始から2年で時価総額$4.5B!Zenefitsの基本情報まとめ

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USにはサービス開始2年で時価総額$4.5B(1ドル=120円だと5400億円)にもなったZenefitsというお化けクラスのHRサービスが存在します。。。でもなんだかんだこれまでZenefitsに関する記事を書いていなかったので、いい加減書こうと思いブログに至りました。

今回はZenefitsを知らない人にも分かるように基本情報を主にまとめていきます。

 

◯Zenefitsに関して

設立:2013年

オフィス:California、Arizona

主な投資家:YC, a16z, Fidelity

Zenefitsは簡単に言ってしまうと、給与支払いから、労務管理など会社での様々な業務を効率化してくれるSaaSツールです。2013年にY Combinatorの冬のバッチに採択され、同年5月にローンチされてから約2年で時価総額$4.5Bになるまで急成長しました。

 

◯ Zenefitsの機能

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Zenefits上記のように給与支払いだけではなく、保険など様々な機能を利用することが出来ます。

(下記に一部を紹介)

Payroll & Taxes

・給与振込の自動化、銀行口座の登録(サイン)などもすぐできる
・自動控除、確定申告
・請負業者への支払い
・ダイレクト預金
・国・地方税の納付
 
Benefits & Insurance
・健康保険や歯科保健、短期のものやグループでの保険を様々な保険の選択
・401kの積立

 

給与や保険などのバックオフィス系の機能だけではなく、従業員の雇用管理やレポートにも力をいれ、2015年5月にはこれらをスピンアウトさせたようなフリーマネジメントツール「Zenefits for Managers」をローンチしました。

techcrunch.com

 

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(更に詳しく機能が知りたい人向けに)

 

◯創業経緯

Co-FounderでCEOのParker Conradは33歳の時このZenefitsを立ち上げました。彼はZenefitsを立ち上げる前に「SigFig」という投資を自動化して管理してくれるFinTechサービスを立ち上げていました。その時に自分で労務や給与支払いなどを行い、ペーパーワークの多さに驚いたことがZenefitsにアイディアにつながりました。(今(当時)2010年だぞ!Faxなんて1986年かよ!とオフィスでキレたこともあるそうな。。。)まぁそんなこんなでHR業務のペーパーレス化を進めると需要は必ずあると確信していました。

 

しかしただのHR業務を自動化したソフトだけだと、大手のTaleoやSuccess Factorなどがあったため何かしらの打開策を考えていました。そこで彼が目をつけたのが保険でした。彼はガンを患った経験があり、その時に保険に助けられ保険に興味を持つようになっていました。更にはオバマ政権になりACA*などを始めとしたオバマケアが開始されることを知り、保険を利用して他社と差別化することを考えました。

 

*ACA:50人以上の従業員を抱えているがフルタイム雇用者に医療保険を提供しないなくて、もしそのフルタイム雇用者らが医療保険加入に対して政府から(税控除などの形で)補助金を受け取っているならば、事業者は税制上のペナルティを払わなければならないという決まり。

 

◯ Zenefitsのビジネスモデル

Parkerは保険でマネタイズする方法を思いついたため従来のサービスとは異なるビジネスモデルを展開することとしました。それまでのサービスでは月額課金や基本料金+従業員人数に合わせての課金といったビシネスモデルが一般的でした。しかしZenefitsは基本料金を無料にし、その代わりクライアントの従業員の保険を保険会社に販売することによって、その売上から手数料をもらうというモデルにしました。更にはツールとしてもフリーミアムモデルを採用し、そちらでもマネタイズをしていきました。(例えば基本機能は無料だがストック・オプション管理機能は従業員一人につき月額5ドルなど)

そのため、すべてのクライアントからお金を貰えるわけではなく、無料のままZenefitsを利用しているクライアントも50%程度いるそうです。

 

しかし基本料金が無料だということもあり、ZenefitsはY Combinatorのネットワークを中心にペーパーワークが嫌いなTech企業へ爆発的に広がっていきました。またa16zのLars DalgaardやYammerのDavid Sacks、TwitterのRita Gargなどサポーターにも恵まれどんどん成長していきました。

 

◯日本での利用に関して

Zenefitsは保険を売るビジネスモデルのためその国の法律などの規制にかなり影響されます。そのため現時点では基本的にアメリカ以外での展開は考えていないそうです。そのため現在登録してツールのみを利用することはできるかもしれませんが、日本でZenefitsのサービスを受けることはできません。

 

◯ おまけ
最後におまけとしてZenefitsの時系列での情報を分かる範囲でまとめたものを記載しておきます。

2013   Y Combinator’s Winter 2013に採択
2013.01 設立(本社:サンフランシスコ)
     ファウンダー:Parker Conrad(当時33歳)
2013.05   正式ローンチ
2013.07 シード$2.1M
                 クライアント110(毎週平均10社増加)
      従業員12
2014.01 シリーズA$15M
      従業員15突破
2014.03 クライアントの96%がTech企業
2014.06 シリーズB$66.5M、バリュエーション$500M
      クライアント2,000社(従業員ベース5万人突破)、47州で利用される。
      新規クライアントのうち60%がSF以外の地域、
      更にその内の60%はTech以外の企業に
2014.07 従業員180
                ストックオプション管理機能追加(オプションで従業員1人あたり5ドル/month)
2014.09 従業員220
2014.11 アリゾナ州に約2800坪のオフィスを建設
2014.12  YammerのファウンダーDavid SacksがCOOでジョイン
                  従業員470(SF:アリゾナ=340:130)
     成長率1600%(前年比)
2015.01 クライアント10,000社(従業員ベース10万人突破)
2015.05 $500M調達、バリュエーション$4.5B
         「Zenefits for Managers」をローンチ
2015.06 従業員1000突破
2015.07 TwitterのディレクターRita Gargがジョイン
2015.09 ACAのオートメーション機能をローンチ

 

 

<参考記事>

保険仲介業者が、中小企業の人事向けに無料のクラウドサービスを提供!?:Daijob HRClub:外資・グローバル企業の人事スペシャリストのための情報サイト

Zenefits Wants to Make Complying With Obamacare a Breeze | Inc.com

Zenefits launches ACA Compliance Automation to help small businesses follow the law | VentureBeat | Cloud | by Jordan Novet

SiliconBeatZenefits files motion to strike ADP defamation lawsuit - SiliconBeat

SiliconBeatZenefits opens second Arizona office to continue hiring spree - SiliconBeat

Tech's Next Big Legal Clash Will Be Over Selling Insurance | WIRED

 

 

 

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