2015年5つのITトレンドと関連するHRスタートアップ(前半)
先日コンサルティングファームのAccenture(アクセンチュア)が「IT Trends 2015 – Accenture Technology Vision」という2015年のITトレンドを5つ発表していました。
なんとなく見ていると、その5つトレンドに沿った注目のHRスタートアップを世界最大級のHRTechカンファレンスである「HR Technology Conference & Expo」のCo-Chairman、Steve Boeseがピックアップしていた記事を発見しました。今回はその記事に企業情報などの補足を付け加えたものになります。元記事が読みたい方はこちらから→(http://www.hreonline.com/HRE/view/story.jhtml?id=534358323&)
◯2015年のITトレンド
その1:「The Internet of Me」
まず1つ目のトレンドとして世界は今よりもっとパーソナライズされていくとアクセンチュアは言っています。Amazonのレコンメンド機能など個々に合わせた機能というのは今では一般的になっています。そしてそれがどんどんと精密になり、健康管理などミクロな差まで見極めたサービスというのが今年は特に進んでいき沢山生まれるそうです。
アクセンチュアによるとパーソナライズされた顧客体験という項目がサービスの優先事項としてトップ3に入るとした企業は全体の81%、一番の優先事項だとした企業は38%になるようです。
この領域での注目HRスタートアップ
・Brand Amper(http://brandamper.com/)
このサービスは採用における雇用者の趣味趣向や経歴など詳細な情報を掲載するLinkedInのようなソーシャルプラットホームで、企業はここから自社に最も合致する人材を採用することが出来ます。このサービスの強みとしては独自のストーリーテリングツールを駆使して、利用者のブランディングを高めることが出来るという点です。分かりやすくいうと、このサービスに登録する際の質問に答えることで自分の強みをみつけてくれてと自己分析もしてくれるという感じです。
会社は2014年設立のシカゴを拠点とするスタートアップで、設立初年で「HR Technology Conference and Exposition」において入賞しました。
その2:「The Outcome economy」
2つ目のトレンドとしてあげているのはエンタープライズの世界とリアルな世界が繋がるアウトカムエコノミーです。これはここ数年トレンドになっているInternet of Thingsがより進んで、モノだけではなく生活圏全体がインターネットによってスマートになっている状態だとイメージすると分かりやすいかもしれません。この状態では単にモノやサービスを売っているのではなく、もっとなにか大きな産物を売っていると言えます。アクセンチュアによると87%の企業が素晴らしいハードウェアによってそのような状態に移行されると見ているようです。
この領域での注目HRスタートアップ
・ShapeUp(http://www.shapeup.com/)
このサービスは従業員たちが運動することをサポートする社内使用のクローズドSNSです。現在までにHPなどが導入しています。従業員はここに登録して運動のスケジュール管理や社内で一緒に運動してくれる仲間をつのる事ができます。更には100以上のヘルスケアのデバイスやアプリからデータを持ってきて一括して健康管理を行うことが出来ます。
会社はアメリカのプロビデンスにあり2006年に設立されています。資金調達はExcel Venture Managementなどから2010年にシリーズA、2013年にはシリーズBで合計$10M行っており、同じ2013年には$2.5Mの借り入れもしています。ファウンダーでCEOのRajiv Kumarは大学卒業後このShapeUpを立ちあげました。
・Virgin Pulse(http://www.virginpulse.com/)
このサービスはShapeUp同様、従業員の運動をサポートするサービスです。ネットで自分の日々の運動を確認しながら会社の仲間たちとより良い関係が作れるようなものになっています。しかしこの企業が他社と違うのは自社でハードウェアを作っているところです。Maxという自社のサービスにすぐに直結する万歩計のようなデバイスになっています。歩数やカロリーが手間なくデータがとれるようになっています。またゲーム感覚で運動を続けてもらえるようにポイントが貯まる仕組みもできています。
会社情報はほとんどありませんでしたがCEOのShawn Lavanaは先程紹介したShapeUp出身で2010〜2013年にかけて在籍していたそうです。
(オリジナルデバイスのMax)
・Limeade (http://www.limeade.com/)
このサービスは従業員がダイエットや禁煙など運動だけでなく健康管理全般に関する目標を管理することができるアプリです。日々の記録管理はもちろんのこと目標を達成するとポイントが貯まる機能もついていて会社内で何かしらの報酬を設けることもできます。
会社はワシントンにあり2006年設立。昨年までにTVC CapitalなどからシリーズCまで総額$25Mを調達しています。
これら3つに共通することは新しい技術で従業員の雇用とウェルネス(運動を適宜日常生活に取り入れながら、健康的に日々の暮らしを送ろうという意味)に対してアプローチするサービスという点です。モチベーションの専門知識、それから競争とチームビルディングを組み合わせた技術によってこれらのサービスによって企業は生産性や利益同様、従業員の健康面も良い方向に持って行くことができます。実際このサービスによって従業員の欠席率が下がり、会社にプラスの影響が出ているという報告がされているようです。
まとめ
HR周りのスタートアップを調べていてどこで区切るかにもなりますが、HRというのは単に会社における採用などのツールとしてだけではなく、健康管理などライフスタイルに関わるもの全てHRTechの領域範囲内ということになることが分かりました。可能性はまだまだあるのでのでこれから成長しそうな分野ですね。
後半もよろしくお願いします。